♡航星日誌♡

・・・to boldly go where no one has gone before.

20200701/鮮血

やまみちを登りながらこう考えた智に働けば角が立つ情に棹させば流される意地をとおせば窮屈だとかくに人の世は住みにくい住みにくさが高じると安い所へ引き越したくなるどこへ越しても住みにくいと悟った時詩が生れて画が出来る
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもないやはり向う三軒両隣にちらちらするただの人であるただの人が作った人の世が住みにくいからとて越す国はあるまいあれば人でなしの国へ行くばかりだ人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう
越す事のならぬ世が住みにくければ住みにくい所をどれほどかくつろげて束の間の命を束の間でも住みよくせねばならぬここに詩人という天職ができてここに画家という使命がくだるあらゆる芸術の士は人の世をのどかにし人の心を豊かにするがゆえにたっとい
住みにくき世から住みにくきわずらいを引き抜いてありがたい世界をまのあたりに写すのが詩である画であるあるいは音楽と彫刻であるこまかにいえば写さないでもよいただまのあたりに見ればそこに詩も生き歌も湧わく着想を紙に落さぬともきゅうそうの音は胸裏におこる丹青は画架に向ってとまつせんでも五彩の絢爛はおのずから心眼に映るただおのが住む世をかく観じ得て霊台方寸のカメラにぎょうきこんだくの俗界を清くうららかに収め得うればたる
この故に無声の詩人には一句なく無色の画家にはせっけんなきもかくじんせいを観じ得るの点においてかく煩悩を解脱するの点においてかく清浄界に出入し得るの点においてまたこの不同不二の乾坤を建立し得るの点において我利私慾のきはんを掃蕩するの点において千金の子よりも万乗の君よりもあらゆる俗界の寵児よりも幸福である

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20200701

真白な浴室
猫脚の白いバスタブ
水に滲む美しい鮮血
胎児の姿勢
黒く長い髪が水の中で揺れている


バスルームに向かっている私
水の中で死んでいる私
それらを上から見てる私


意図
傷ついて怯えて奥の方にいたという夏至の夢見の泣いて身を捧げていたわたしにもっと前の方に来てもらいたい。今のこのわたしは手放していいです。

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