♡航星日誌♡

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錬金術と円積法

ユングの『心理学と錬金術』には、「男女両性を一つの全体にまとめる円積法」という図が収載されている。「マイアー『化学の探求』(1687年)の中の寓意画」と説明が付されている


円と等積の正方形をつくるという有名な「円積法」は、人間の本質を神の領域まで高めて神性を得ようとする人間の努力の象徴となる。幾何学で使う普通の道具では回答不能のこの命題は、ルネサンス期には「神化」を目指す人間の姿のアレゴリーとしてしばしばとりあげられたし、錬金術のシンボルとしても重要な役割を果たした。ユダヤの思想(カバラ)でも円と正方形が取りあげられ、ー略ー、正方形の内部に描かれた円は、物質という覆いの内部に宿る「神の火花」とみなされた。



ユダヤ女マリア
クレオパトラ錬金術




「倫理的[=心理的]であると同時に自然的[=物質的]でもある」という錬金術の論証法を、精神と自然との照応の理論が前もってあったから出てきたものだとみなすのは間違っている。この理論はむしろそれとは反対に〈投影〉体験を合理化したものだと見るほうが妥当である。心理学と錬金術



レヴィ・ブリュールの「神秘的融即」は、独特な方式で客体と心理的に結びついている状態を意味している。これは主体が自らを客体と明確に区別できず、部分的同一性とでも呼べるような直接的な関係によって客体と結びついていることだ。この同一性は客体と主体のア・プリオリな一体性に基づいている。ユング



トリックスターの典型的ないくつかのモチーフを一人で持っている珍しい例は錬金術のメルクリウス像である。即ち彼は半ば面白半分、半ば悪意(毒!)のある狡猾な悪戯の性癖、変身能力、獣神的な二面性を持ち、あらゆる種類の拷問に晒され、そして、最後に重要な事だが、救い主の像に近づく。ユング



人類を単純に野蛮なものだと決めてかからなくてもよいような時代、人間に取り憑いた悪魔を追い払い、憑かれた無意識の状態から引き離すための手段や方法を真剣に探し、このことを最も重要な文化課題とするような時代は、いつになったら来るのであろうか。ユング  今?




善の欠如理論のおかげで、キリストという形姿における全体性は一見保証されたかに見えるが、経験的心理学のレベルで悪に対しようとする際には、悪はもっと実体あるものとして捉えられなければならない。そこではもっぱら悪は、善の反対なのである。ユング




ニーチェの超人はキリスト教の集合的な力にまともに衝突せざるをえないような、個の意識の一種の倨傲だ。このような倨傲は必然的に個の悲劇的崩壊を招来する。この崩壊がニーチェにおいていかにして、どれほど特徴的な形で、精神的にも肉体的にも起こったかは皆がよく知るところだ。ユング



錬金術の根本的な秘密は人間の精神の中に、現代的表現を用いれば無意識の中に隠されているというのが、『哲学者の薔薇園』の著者の実際の見解、文字通りの意見だったのだということは充分ありうる。ユング 心理学と錬金術



錬金術師たちにとって物質の真の性質は未知だった。彼らはそれを暗示の形でしか知らなかった。彼らはそれを探求しようとして、物質の未知の闇を照し出すために自らの無意識をその未知の闇に投影した。物質の秘密を解明するために、そこにもう一つ別の秘密を、即ち自分自身の心の未知の深層を投影した。ユング



人間の最悪の罪は無意識でいることである。だが人類の教師であり模範でなければならぬ人々でさえ、この罪のために最も熱心に働いている。ユング 
元型論



共時性は意味のある偶然の一致、つまり非因果的連関である。その事例は、私にとっては一種のヌーメン性を持っているように思われた。ユング
ヌーメン性 神霊的、人知を超えた神秘的な体験



心霊現象の心理と病理,カール・グスタフユング,法政大学出版局/ユング博士論文1902




そこには、人間自身の霊的変成を幻視したゾーシモス(エジプトはパノポリスの錬金術師。後300年頃活躍)のような神秘性は微塵もない。ゾーシモスは、現代の精神分析ユングの尽きせぬ題材となっている。ゾーシモスの幻像




ヘーシオドスの『仕事と日』は最古の農事暦  ここで使われている概念は、何度も触れた"Heliacal Rising"
Cosmical Setting:日の出少し前に、星が西天に沈む現象。
Acronycal Rising:日没直後に星が東天に昇る現象
Heliacal Setting:日没直後に星がまだ西天に残って光って見える現象。