今日も夢を見なかった。
グノーシス主義の、自分を至高の神だと思い込んでいる無知蒙昧のデミウルゴスの神話は、自我の当惑ぶりを描いている。即ち自我は、自分より上位の審級機関によって、これまでの単独支配の玉座を追われるのだという認識をこの期に及んで認めないわけにはいかないのである。
人神論という教義は、心理学的言語に翻訳するならば、人間としてのキリストが自我に照応し、神としてのキリストは自己に照応するから、キリストは自我であると同時に自己であり、したがって部分であると同時に全体でもあるということを言い表している。
真理は我々の中には探し出されない。我々の内に存在している神のイメージの中に探し出される。
以上ユング